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毎月26日に渋谷Star loungeで開催されているLAMP IN TERREN定期公演の14回目。『SEARCH』と名付けられた定期公演は、LAMP IN TERRENとそのリスナーが「ともに音楽とライヴの在り方を模索していく」実験スペースみたいな空間だ。2018年1月よりスタートし、途中、松本の声帯ポリープ除去手術により3ヵ月分の休止があったものの、表現をより自由に拡張していくための場所として、LAMP IN TERRENにとって欠かせないチャンネルになっている。


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 この日は、観客のライヴ撮影が許可された。ライヴスタート前の松本によるアナウンスによれば、「『SEARCH』ということで、一緒に探し求めていこうという意志を込めている。答えを探し求めている僕らの姿をお客さんにも共有して欲しい、だから今回は撮影してもいいし、もちろん『撮影して欲しい』ということでもない」とのこと。ここが「実験スペース」たる所以だが、ライヴ撮影禁止が通例となっていることが、必ずしも正しいのか? という疑問を形にしたライヴとなった。ライヴという生の音楽体験を撮影することが、どれだけ深い思い出として残るのか。あるいは、その場だけの体験に勝るものなどないのか。撮影する側は自分に問う場であり、撮られる側はそれをどう感じるのか。定期公演という濃密なコミュニケーションの場だからこその実験である。



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ライヴ冒頭を飾ったのは“Water Lily”。<孤独は君がくれたものだよ>と切り出す歌は、松本らしく、人との相互関係に自分の存在証明を求める歌である。その歌の存在感と太さを前提にした上で、ステージから放たれる音のど真ん中を貫いているのは、歩調にフィットするようにじっくりとしたリズムの安定感だ。

これは最新作『The Naked Blues』での音楽的な拡張・鍵盤を軸にした楽曲が呼んだものだろうが、大屋 真太郎(Gt)の深いリヴァーブが効いたアルペジオと、淡々と抑制されたビートを崩さないままゆっくりと熱量を帯びていくリズムが主役になっているライヴへと変貌している。音の隙間を意識した楽曲が増えたことで、ギターを持たず自由にステージと音の中を泳ぐようになった松本のパフォーマンスが色気をたっぷり放つようになり、歌唱自体もより解放感を放っている。


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“Dreams”や“Beautiful”では松本が鍵盤を弾き、冷静にビートが刻まれていく中で、松本が体ごと鍵盤と歌にのめり込んでいくダイナミクスが感じられるステージ。淡々としたリズムのループにポツポツと音が重なっていきながら、松本の歌が突如バーストする様は現在のLAMP IN TERRENの真骨頂と言っていいだろう。歌の中で陰と陽を行き来するようだったバンドだが、今はそれに加え、静と動が音とライヴに映るようになった。言うまでもなく、上述した松本の歌の本質が心の中にもフィジカルな高揚としても伝わってくるようになっているからこそ、音数が吟味されて洗練された楽曲の中でも爆発力は増していく一方である。


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3拍子にドラムパッドを織り交ぜる “月のこどもたち”ではリズム松本の歌を引っ張り、それに身をゆだねるようにして松本はさらに歌を伸び伸びと解放していく。松本がステージ前方に座り込んで歌う姿には一切肩肘張ったところがなく、ただただ自分が歌の中にどう入っていくか。その集中力がぐんぐん増していくのが目に見える。それを見守るようにして、歌と音の中で目を合わせるバンド。生き物としての「バンド」が躍動している様がいい。


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比較的緩やかな楽曲が多く演奏されたこの日だからこそ特に伝わってくるのは、そういう4人の「聖域」みたいなものだった。ただステージ上の音に4人自身が包み込まれていくことで、LAMP IN TERRENに没頭していくだけ。ただ純粋無垢に愛や人を希求するからこそ孤独を強烈に刻みつけるしかなかった歌が、仲間と手をとって安心感いっぱいに深く深く潜水していくような。

そんなライヴが進んでいく中で、“花と詩人”で歌われる<行き着く先はいつも同じ/愛してるなんて 歯痒い言葉だけ>。自分とはなんだと探し求める中で出会った人に何を言いたいのか、自分が守りたいものはなんなのか、たったそれだけだが、それだけの中に切実な本音だけが詰まっていて、それをハッキリとさらけ出せた1曲だ。ただ心の暗部と孤独に光を当てるだけではなく、その外に出て行こうともがき、信頼する仲間がいるからこそ歌える心の奥。

派手な展開はなくとも、その歌の切実さにこそ熱と高揚が生まれていった。

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その熱の塊を持ったまま、“New Clothes”ではラストの転調で一気にバーストするバンドの爆発力を見せつける。ここまで溜めに溜めたエモーションを一気に打ち上げて、しかしたかぶりながらも一切ブレることのないリズム。己が生まれ変わる瞬間をそのまま歌とビートにした1曲は、何度も何度も生まれ変わってきたLAMP IN TERREN自身を表すテーマソングのようだ。

本編ラストの“地球儀”は、まるでLAMP IN TERRENの物語をそのまま紡いだようなセットリストの最後にふさわしい、自分の内なるものをさらけ出すことが人と繋がること、人を受け入れることなのだと知った人の心の動きを表したダンスナンバー。跳ねるも踊るも入り混じった、ただただ自由な空間だけを残して本編が終了した。

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アンコールで登場した松本は、バンド自身が自由に解き放たれていったライヴがあった上で下記のように語った。

「ライヴを撮っちゃダメだと言っている人への抵抗がありました。ダメだって言ってるだけだからダメなだけで、撮影を禁止だって言ってる人だって、ルール違反したことがあるだろう。ただ、当然、撮ってるものが今やっているライヴよりよくなることはない。それがわかってる上で、一度、撮影禁止することを禁止したかった」

松本が言うように、ただ撮影された映像にライヴそのものの熱気がさめることもないし、その場でしか生まれ得ない高揚を人と完璧に共有できるはずもない。が、だからこそ、バンドが生物であること、このバンドのライヴの力を見せつける場で逃げ場をなくす手段として彼らは撮影を許可したのではないかと思う。事実、この日はほぼMCがない、ぶっ続けで音楽だけを放つライヴだった。それに、言葉ではなく音と歌がLAMP IN TERRENの今を雄弁に語っていたのが素晴らしかった。

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かたやMCになれば、中原健仁(Ba)が描いたイラストで作ったグッズ「サンダル」の売れ行きがよくないことをメンバー同士でワイワイと話す一幕もあり(終演後完売)、自由と緊張感、愛嬌の全部が詰め込まれた、LAMP IN TERRENの人柄をそのまま映すライヴでもあった。

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松本「言葉にしようとすると拙くなってしまう。今日は特に話すこともなくぶっ通しでやりました。去年アルバムを出してから、ようやくひとりの人間としてステージに立つことができた、そういう話を半年前にした。そうなると、実生活でもそうなってきて、テンションが低いままで安定してきた。だとしたら、口下手がいろいろ話すべきじゃねえ」

彼なりの言葉で語られた最後のMCは、「テンションが下がってきた」という言葉とは裏腹に、今こそなんのしがらみも力みもない自分でいられることの喜びを伝えるものだった。“メイ”で歌われた<ひとりを分かち合って>、<孤独じゃなかったよ>という歌が、今でこそLAMP IN TERRENを表す歌として聴こえてくる。この曲で歌った通りの姿で生き生きと躍動する、LAMP IN TERRENを一番ピュアな姿で表すライヴだった。

文:矢島大地
写真:浜野カズシ

▼SET LIST
Water Lily
涙星群の夜
heartbeat
Dreams
Beautiful
雨中のきらめき
月のこどもたち
花と詩人
I aroused
New Clothes
凡人ダグ
ワンダーランド
オーバーフロー
地球儀

BABY STEP

En. 
メイ
キャラバン


LAMP IN TERREN定期公演ワンマンライブ 
「SEARCH #015」
日時:2019年6月26日(水) 18:30 OPEN / 19:00 START
会場:渋谷Star lounge (東京都渋谷区宇田川町4−7 トウセン宇田川ビル1F)
200名限定!

【TICKET】
前売¥3,000(+1D) / 当日券未定