命、ギガ長ス©大橋仁

松尾スズキが自ら企画・プロデュースする「東京成人演劇部」が、今年スタート。
第1弾となる『命、ギガ長ス』は松尾が書きおろす二人芝居で、女優・安藤玉恵を相手役に迎える。
ドラマで共演経験はあるものの、松尾に演出を受けるのははじめてという安藤に、その意気込みを聞いた。

——「東京成人演劇部」のお話はいつごろから聞いていらしたのですか?

けっこう前です。最初にお話を伺ったのは6年くらい前、ドラマの打ち上げでお会いしたときに「何か一緒にやらない?」と声をかけていただきました。まず、驚きました。そのときは舞台なのか映像なのかもわからなかったし、本当にできるのかな? と内心思っていました(笑)。

——そもそも「東京成人演劇部」とは、どういうプロジェクトなんですか?

松尾さんも近年、大きな劇場で舞台を作ることが多く、大人計画とは別にこじんまりしたものを自由にやってみたいというお気持ちになったそうです。それで、松尾さん個人で、企画・プロデュースする「東京成人演劇部」を立ち上げることに。1作目のゲストとして私は呼んでいただきました。大掛かりな美術セットは作らずに、ベニヤ板1枚じゃないけれど、初心に帰って「演劇部」のような舞台にしたいとおっしゃっていました。

——チラシの文章には、松尾さんが、「もっとも演劇部のイメージに近い女優、と勝手に思っている」と安藤さんのことを書いていますね。

びっくりしました。私、演劇部の匂いがするのかな?(笑)。実際、早稲田演劇倶楽部出身です。大学1年生のときに、たまたま人が足りないというので誘われて稽古に参加して、すごく楽しかったので、以来、お芝居を始めるようになりました。でも、私が思う「演劇部のイメージ」は、高校の演劇部。舞台の上では思いっきり弾けるけれど、普段はおとなしい子たちのイメージです。当時の私は正反対でしたね(笑)。

——『命、ギガ長ス』はどのようなお話になりそうですか?

まだ台本はいただいてないのですが、認知症のおばあちゃんとアル中で働かない50代の息子、大学の映像学科の教授と卒業制作でドキュメンタリーを撮る女子大生の4人のお話になるそうです。私は、おばあちゃんと女子大生の2役。おばあちゃんの役は前からやってみたかったので、嬉しいです。

——松尾さんの舞台は、昔からご覧になっていたのですか?

はい。私は1996年にお芝居を始めましたが、そのころからほとんど観ています。最初に観たのは、片桐はいりさん主演の『マシーン日記』の初演でした。『ニンゲン御破産』の初演は3回観ました。お金もなかったし、チケットも買えなかったので、シアターコクーンの立ち見席に並んで、当時1回3000円で観ました。本当に面白かった! 

——三浦大輔さん、岩松了さん、江本純子さん、ペヤンヌマキさん、宮藤官九郎さんなど、さまざまな演出家の舞台にご出演されている安藤さんですが、松尾さんの演出は初めて。「何をやらされるんだろう?」というような怖さはありませんか? 

確かに友達に心配されるんですが(笑)、私は全くそんなことはないです。舞台では「どうなるかわからない」ということをやってみたいんです。だから、初めての演出家の方に声をかけていただいたら、すごくやりたいですし、演出家の求めることはできるだけ叶えたいと思います。私は松尾さんのセリフの文学的なところが好きなので、それをちゃんと理解して体現できるか。それが唯一、気がかりですね。

——稽古はお好きですか?

稽古が一番好きです。演出家の方に怒られても凹みませんし、平気です。何を言われても楽しくてしょうがないんです。

——楽しくてしょうがないんですか!?

演出家の方に言われて、またやって、言われてまたやってという繰り返しが楽しいんですよ。

——では、本番で飽きることはない?

全然ありません。何公演もやるのは疲れるとおっしゃる方もいますが、私は30ステージあっても、毎回新鮮なんです。きっとバカなんだと思います(笑)。この冬、スキーに行ったのですが、リフトに乗っている間の数分間は寒くて震えるじゃないですか。でも、滑り始めると、「うひゃー!!」と楽しくてたまらなくて、またすぐ滑りたくなる。5歳の子どもも親戚たちも、とっくに飽きているのに、私だけ「もう1回!」「もう1回」と滑りたがって、同じコースなのに毎回楽しい。そのとき、この感覚は演劇と一緒だ、と気づいたんです。「ユリイカ!」と思いましたよ(笑)。

———毎回、新鮮な気持ちで取り組んでいるところが、舞台での安藤さんの魅力につながっているのでしょうね。本企画をかなり前から聞いていた安藤さんにとっては「ようやく実現した」という感覚なんでしょうか?
 
そうですね。「一緒に何かやろう」と声をかけてくださっても、立ち消えになることなんていくらでもあるのに、本当にご一緒できることになりました。松尾さんは、私にとって、いま、一番信用できる人です(笑)。松尾さんは、『命、ギガ長ス』を繰り返し上演される戯曲にしたいとおっしゃっていました。すごい名作が生まれるかもしれません。申し訳ないけれど、チケットを買ってくださるお客さんよりも、誰よりも私が一番、この舞台を楽しみにしています!

ライティング:黒瀬朋子
写真:大橋仁
ヘアメイク:大和田一美
スタイリング:髙木阿友子

【チケット詳細】

東京成人演劇部vol.1「命、ギガ長ス」


松尾スズキが劇団を始めます。 第一弾は安藤玉恵と松尾スズキの二人芝居。 認知症の母とアル中のニート息子、 ドキュメンタリー作家とゼミの教授 ハッピーエンドにするには命が長すぎる。

2019年7月4日(木)~21日(日)

下北沢 ザ・スズナリ
作・演出:松尾スズキ
出演:安藤玉恵・松尾スズキ

スタッフ・クレジット 舞台監督:髙橋大輔
照明:佐藤啓
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound) 衣裳:戸田京子
ヘアメイク:大和田一美
演出部:佐藤明子
演出助手:佐藤涼子 宣伝美術:本田晶大
宣伝写真:大橋仁
宣伝写真スタイリング:髙木阿友子
宣伝写真ヘアメイク:大和田一美
WEBデザイン:斎藤 拓
映像プロデュース:菅原直太(Spoon.)、石橋健太郎(Spoon.) 制作:三好佐智子(quinada)、坂田厚子(quinada)、鈴木千尋 プ
ロデュース:松尾スズキ 協力:大人計画、マッシュ、シバイエンジン、


<4/14(日)10:00~4/17(水) 先行販売!>
【チケット販売】
https://ticket.line.me/events/2054

【オフィシャルサイト】
http://matsuo-suzuki.com/